口コミを増やす業者の選び方危ない代行と、契約前に聞く7つの質問

営業の電話やDMを受けた店舗から、この相談が届きます。
「口コミを増やします」という業者から連絡がありました。月◯万円で、口コミが◯件増えると言われています。頼んでも大丈夫でしょうか。
先に結論を書きます。「口コミを増やす業者」と一言で呼ばれているものの中には、性質のまったく違う2つの仕事が混ざっています。 片方は普通の外注です。もう片方は、契約した店側が責任を負う側に立たされます。
見分けるのは難しくありません。聞くことは1つだけで、「その口コミは、誰が書くのですか」です。 ここへの答えがはっきりしない相手とは、契約しないでください。
以下、2種類の違い、危ない業者に共通するサイン、契約前に聞く7つの質問、そして事故が起きたときに誰が責任を負うのかを順に説明します。
「口コミを増やす業者」には、2つの種類があります
同じ「口コミを増やします」という言葉で、まったく違うものが売られています。

この2つは、似ているどころか反対のことをしています。
前者は、口コミそのものを作ります。件数は確実に増えます。ただし、そこに書かれているのは来ていない人の感想です。後者は口コミを作りません。作るのは、来た人が書くまでの道筋です。
件数が約束されているかどうかで、ほぼ判別できます
営業資料の見分け方は単純です。「◯件保証」「1件◯円」と書いてあるものは、前者だと考えてください。
理由は考えれば分かります。実際に来たお客様が書くかどうかは、店側にも業者側にも決められません。決められないものを保証できるのは、書く人を自前で用意している場合だけです。
一方、後者の仕事には件数の保証がありません。売っているのはQRコードの設計、声かけの言葉、返信の運用、月次の数字の読み方です。増えるかどうかはお客様が決めます。
「口コミ代行」という言葉が、両方に使われています
やっかいなのは、業界の中でこの2つを分ける言葉が定着していないことです。どちらも「口コミ代行」「口コミ対策」「MEO対策」と名乗っています。
ですから、看板の言葉では判別できません。判別できるのは、中身を1つずつ聞いたときだけです。

なぜ、投稿を代行する業者が無くならないのか?
方針に反していると分かっているのに、この種の営業はなくなりません。理由は3つあります。
理由1 効果が、最初の1か月だけは本当に出る
10件、20件と口コミが増えれば、平均評価は動きます。短期的には、依頼した店から見て「効いた」ように見えます。
問題が表に出るのは、あとからです。まとめて投稿されたものが削除されたとき、あるいは店の側が方針に反した表示をしたとして問われたとき。そのときには、業者との契約はもう終わっていることが多いです。
理由2 店側に、判断の材料がない
Googleビジネスプロフィールを普段さわっていない店舗の方に、「これは方針に反しますよ」と判断しろというのは無理があります。営業に来た側は、そこを分かって説明を省いています。
「Googleの規約は問題ありません」と口頭で言われて、根拠を示されないまま契約する。これがいちばん多い形です。
理由3 責任の所在が、契約書に書かれていない
後述しますが、投稿を代行させたときに行政から見られるのは、依頼した事業者、つまり店のほうです。 ところが契約書にはその話が出てきません。
気をつけること
「Googleに認められた手法です」「ペナルティはありません」と言い切る業者を信用しないでください。 Googleは、金銭やインセンティブを伴う口コミ、来店していない人が書いた口コミを禁止しています。認められている、と言い切れる立場の会社はありません。書面で根拠を求めて、出てこなければそこで終わりにしてください。
投稿を頼む行為そのものがどこから線を越えるのかは、口コミ依頼が違反になる境目にまとめてあります。契約の前に、店側の線引きを先に持っておいてください。
危ない業者に共通する、5つのサイン
営業を受けたその場で判断できるように、サインの形にしました。1つでも当てはまったら、契約を保留してください。

サイン1 件数を保証する
前の章のとおりです。保証できるということは、書き手を自前で持っているということです。
「平均◯件は増えています」という実績の話と、「◯件保証します」という契約条件は、まったく別のものです。混同しないでください。
サイン2 料金が口コミの件数に連動する
ここは分かりにくいので丁寧に書きます。1件いくらの成果報酬は、口コミの投稿そのものにお金が払われる形です。
集める仕組みを作る仕事なら、料金は仕組みに対して発生します。QRの設計、声かけの整備、返信の運用。それらは、口コミが1件も増えなくても発生する作業です。
逆に「増えた分だけお支払いください」は、聞こえはよくても、投稿を金銭で動かす構造になっています。
サイン3 書く人を説明しない
「独自のモニターネットワーク」「提携ユーザー」。この種の言い換えが出てきたら、「その方は、うちの店に来ますか」と聞いてください。
来ない、あるいは答えが曖昧なら、それは来店していない人が書く形です。ここは言葉の問題ではなく、事実の問題です。
サイン4 オーナー権限を渡すよう求めてくる
Googleビジネスプロフィールには、オーナーと管理者という役割があります。管理者でも、投稿・返信・情報の更新はできます。
つまり、代行の作業に必要なのは管理者権限です。オーナー権限を移す必要はありません。 それでもオーナーを求めてくる場合、解約のときに困るのは店のほうです。
サイン5 「悪い口コミを消せます」と言う
消せるのは、Googleの方針に反した内容のものだけです。気に入らない、事実と違う、というだけでは消えません。 消せると言い切る業者は、そこを説明していません。
削除できるものとできないものの線引きは、Google口コミの削除方法に分けて書いてあります。
代行に入るとき、前の業者に渡したままのオーナー権限が残っていて、まずそこを戻す作業から始まる店舗があります。解約したのに管理画面に他社が残っている状態です。契約するときは気にならなくても、やめるときに必ず出てきます。
契約する前に聞く、7つの質問
そのまま読み上げて使える形にしました。メールで送って、文章で返してもらってください。 口頭の返事は残りません。
質問1 その口コミは、誰が書くのですか
いちばん大事な質問です。答えは「実際に来たお客様」以外にありえません。
「弊社のライターが」「提携している方が」と返ってきたら、そこで終わりにしてください。言い方を変えて何度も聞く必要はありません。
質問2 うちのプロフィールには、どの権限で入りますか
「管理者で」と即答できる会社を選んでください。 オーナー権限を求める理由を説明できるなら聞いてもよいですが、作業上の必要はありません。
質問3 解約したあと、権限とデータはどうなりますか
- 管理者から外れるのは、いつか
- これまでの口コミと返信は、店側に残るか
- 集計してきた数字は、どの形で受け取れるか
この3つを、文章でもらってください。 口コミと返信はGoogle側に残りますが、業者が独自に作ったフォームやアンケートの回答は、契約が切れると見られなくなることがあります。
質問4 口コミが削除されたり、プロフィールが止まったら、どう対応しますか
起きうることとして扱っている会社かどうかが分かります。「起きません」と答える会社は、起きたときに動きません。
質問5 料金は、何に対して発生しますか
件数連動か、月額固定か。月額固定なら、その月に何をするのかを一覧で出してもらってください。
料金の考え方そのものはMEO対策の相場と料金の決まり方に書いてあります。相場より安いことより、何に払っているかが説明できるかどうかを見てください。
質問6 返信は誰が書きますか。公開前に確認できますか
返信を任せる場合の質問です。公開前に店側が見られる形になっているかを確認してください。
返信は店の言葉として公開されます。業者が書いた文が、店の名前で残ります。ここを確認なしで通す運用は、業種によっては危ないです。
質問7 これまでの事例を、店名を出さずに1件、経緯で説明してもらえますか
数字ではなく経緯を聞くのがコツです。「何をして、何が詰まって、どう直したか」を話せる相手は、実際に手を動かしています。
「平均評価が◯◯になりました」だけで終わる場合、その途中を知らない可能性があります。
事故が起きたとき、責任を負うのはどちらか
ここが、契約前にいちばん知っておくべきところです。投稿を代行させて問題になったとき、見られるのは依頼した事業者、つまり店のほうです。
景品表示法のステルスマーケティング規制
2023年10月1日から、事業者の広告であるにもかかわらず、第三者の感想であるかのように見えるものは、景品表示法上の不当表示として扱われます。
ここでいう事業者は、商品やサービスを供給している側です。つまり、店です。 業者に依頼して投稿させ、その内容に店側が関与していれば、店の表示として扱われます。措置命令の宛先になるのは店です。
「業者が勝手にやったこと」は通りません。 依頼したのは店だからです。
Googleの側で起きること
Googleは、金銭やインセンティブを伴う口コミ、実際の体験に基づかない口コミを禁止しています。方針に反した口コミは削除されます。
まとめて投稿されたものが後から消えると、増えた件数が減ります。払ったお金は戻りません。
店に残るもの、業者に残るもの
| 店に残るもの | 業者に残るもの | |
|---|---|---|
| 口コミが消えたとき | 減った件数と、払った費用 | なし |
| 行政から見られたとき | 事業者としての表示責任 | なし |
| 契約が切れたとき | プロフィールと口コミ | 次の営業先 |
片側にしかリスクが乗っていません。 ここを理解したうえで契約するかどうかを決めてください。
契約書で確かめる1行
「Googleの方針および景品表示法に反する方法を用いない」という一文が入っているかを見てください。入っていない契約書は珍しくありません。入れてもらえない場合、その理由を聞いてください。ここが、口約束と契約の分かれ目です。
業種ごとに、業者に頼むべき仕事が違います
「口コミを増やす」と言っても、詰まっている場所は業種で違います。そこを見ずに同じ提案をしてくる相手は、自分の店を見ていません。
飲食店 詰まるのは、会計の30秒
飲食店で口コミが増えないのは、声をかける時間がないからです。会計は混みます。レジ横にQRを置くだけでは、目に入りません。
外注する価値があるのは、レシートやテーブル会計の流れのどこにQRを差し込むかの設計です。ここは店ごとに違うので、現場を見ずに提案できません。
美容室・サロン 詰まるのは、施術後の会話
美容室は、会話の時間があります。声をかけること自体は難しくありません。 詰まるのは、そのあとです。
その場で読み取ってもらえず、「あとで書きますね」で終わります。外注する価値があるのは、会計待ちの数分でその場で開いてもらう形を作ることです。
整体・接骨院 詰まるのは、次回予約のとき
通院型なので、接点は何度もあります。ただし、効果を口コミに書いてもらう頼み方は避ける必要があります。
ここは、集める仕組みより先に声のかけ方の線引きを整えるべき業種です。業者に頼むなら、そこを説明できる相手を選んでください。
クリニック・歯科 詰まるのは、そもそも頼めないこと
受診の事実に触れられないため、他業種と同じ声かけができません。QRの置き場所と文面が、そのまま医療広告の話になります。
この業種で「他業種と同じ方法で増やします」と言ってくる業者は、危ないと考えてください。

業者に頼まずに口コミを増やす、最初の3手
見積もりを取る前に、自分で試せることがあります。ここまでやって足りない部分だけを外注すると、見積もりの見方が変わります。

手1 リンクの行き先を、自分のスマホで確かめる
いちばん多い詰まりがここです。QRを読んだ先が、口コミを書く画面ではなく店の情報ページになっている。 これだと、書くまでにあと3手かかります。
自分の店のQRを、自分のスマホで読んでみてください。書き込み欄が出れば正解です。
手2 渡す場所を、1か所に絞る
置き場所を増やすと、誰も渡さなくなります。「会計のときだけ」と決めるほうが増えます。
手3 声のかけ方を、1文だけ決める
「よろしければ、ご感想をお聞かせいただけますか」。これで十分です。
大事なのは、全員が同じ言葉を使うことです。 星の数を指定しない、書く内容を指定しない。この2つを守れば、方針に触れることもありません。
具体的な詰まりどころはGoogle口コミを増やす方法に3つに分けて書いてあります。

数字は、月に1回だけ見る
見るのは3つです。
| 見るもの | どうなったら正しいのか |
|---|---|
| 新規口コミ数 | 前月と比べて、じわりと増えている |
| 表示回数 | 口コミが増えた月に、一緒に動いているか |
| ユーザーアクション | 電話・ルート・サイトのクリックが増えているか |
口コミの件数だけを見ないでください。 増えたのに来店が動いていないなら、増やし方が来店につながっていない形です。業者を評価するときも、見るのは件数ではなく、この3つの並びです。
よくある質問
Q. 口コミを増やす業者に頼むこと自体が、違反なのですか
違反ではありません。問題になるのは、来ていない人が書く形と、投稿そのものにお金を払う形です。 集める仕組みを整える仕事を外注するのは、普通の外注です。
Q. 「モニター」「体験レポーター」なら大丈夫ですか
呼び方の問題ではありません。実際に来て、自分の言葉で書いていて、依頼を受けたことが分かる形なら、そこは事実として扱えます。 来ていない人が書くなら、呼び方を変えても同じです。
Q. 業者に頼んだ口コミが削除されました。返金されますか
契約書によります。削除されたときの扱いが書かれていない契約が多いので、契約前に確認してください。書かれていなければ、返金は望みにくいです。
Q. すでに契約してしまいました。何から確認すればいいですか
まず、Googleビジネスプロフィールの管理者一覧を開いてください。 業者がオーナーになっていないかを見ます。次に、増えた口コミの投稿者を確認してください。ここで判断がつかなければ、契約書の解約条項を読んでください。
Q. 月額いくらまでなら妥当ですか
金額の高低より、その額で何が行われるかが一覧で出てくるかを見てください。考え方はMEO対策の相場と料金の決まり方に書いてあります。
Q. 返信だけを業者に任せるのは、問題ありませんか
問題ありません。ただし、公開前に店側が確認できる形にしてください。 返信は店の言葉として残ります。
Q. 「初期費用0円、成果報酬のみ」は安全ですか
成果が口コミの件数を指しているなら、危ない形です。 何を成果と呼んでいるかを、契約書の文言で確認してください。
Q. 業者を切り替えるとき、口コミは引き継げますか
口コミと返信はGoogle側に残るので、業者が変わっても消えません。消える可能性があるのは、業者が独自に作ったフォームや集計です。
まとめ
- 「口コミを増やす業者」には、投稿を代行するものと、集める仕組みを整えるものの2種類がある
- 聞くのは1つ。「その口コミは、誰が書くのですか」
- 件数保証と件数連動の料金は、書き手を自前で持っている形
- オーナー権限を渡さない。 代行に必要なのは管理者権限
- 「悪い口コミを消せます」は、方針に反したものしか消えないことを説明していない
- 契約前に7つの質問を文章で送り、文章で返してもらう
- 事故が起きたとき、行政から見られるのは依頼した店のほう
- 契約書に、「Googleの方針と景品表示法に反する方法を用いない」の一文を入れる
- 業種で詰まる場所が違う。現場を見ずに同じ提案をする相手は選ばない
- 見積もりの前に、リンク・渡す場所・声のかけ方を自分で整える
レビューデスクは、口コミを書く仕事をしていません。やっているのは、実際に来た方が書くまでの道筋を作ることと、届いた口コミへの返信を整えることです。 件数の保証はしていません。保証できるものではないからです。見積もりを比べるときは、この記事の7つの質問を、そのまま他社にも送ってみてください。返ってくる文章の差が、いちばん分かりやすい判断材料になります。

