口コミ依頼が違反になる境目「星5でお願いします」がなぜ危ないのか

口コミを増やしたい店舗の方から、いちばん多く聞かれるのがこれです。
「星5でお願いします」と言ってはいけないのですか。
言ってはいけません。 ただ、理由が「マナーとして良くない」だからではありません。Googleの方針で禁じられていて、実際に口コミが消えるからです。
口コミ依頼で違反になるのは、何か
Googleは、口コミについて次のようなことを禁止しています。
- 見返りを条件に口コミを依頼すること(割引、一品サービス、次回使えるクーポンなど)
- 良い評価だけを選んで集めること
- 本人以外が書くこと(スタッフ、家族、業者による代筆)
「星5でお願いします」は、2つ目に当たります。評価の内容を指定して依頼しているためです。
見落とされやすいのは、「良い評価をお願いします」も同じ扱いだという点です。星の数を言わなくても、評価の方向を指定していれば同じです。
レビューデスクここでいう「方針」は、Googleが公開している禁止コンテンツと制限コンテンツのポリシーのことです。法律ではなくGoogleの規約なので、罰金が来るわけではありません。代わりに、口コミが消えたりプロフィールが止まったりします。店舗にとっては、そちらのほうが痛い場合が多いです。
何が起きるのか
方針に反した口コミは、Googleの判断で削除されます。 1件ずつではなく、まとめて消えることもあります。
より痛いのは、その次です。繰り返すと、プロフィールそのものが止められることがあります。そうなると、口コミが消えるどころか、Googleマップ上で店舗が見つけられなくなります。

上のように店舗が並ぶ画面から、自分の店だけが消えるということです。新規のお客様が店を見つける経路が1本まるごと止まります。
そして、店舗にその気がなくても同じ扱いになります。 「知らなかった」「業者に任せていた」は通りません。ここが怖いところです。
消えた口コミは戻らない
削除された口コミは、こちらから復旧を頼む手段が基本的にありません。1年かけて集めた口コミが、まとめて消えることがあるということです。
しかも、消えた理由が通知されるとは限りません。「気づいたら件数が減っていた」という形で分かることのほうが多いです。だからこそ、集め始める前に線引きを決めておく必要があります。
違反になりやすい口コミ依頼の例
実際に見かける形を挙げます。いずれも意図せずやってしまいがちなものです。
| やってしまいがちなこと | なぜだめか |
|---|---|
| 「星5をいただけたら次回50円引き」 | 見返りを条件にしている |
| 「良い評価をお願いします」 | 評価の方向を指定している |
| 満足した方だけにQRを渡す | 良い評価だけを選んで集めている |
| 「不満があればこちらへ」と別窓口に分ける | 同じく、悪い評価を外している |
| スタッフに書いてもらう | 本人以外が書いている |
| 抽選でプレゼント、と告知する | 見返りを条件にしている |
| 「口コミを書いた方に限り」と条件を付ける | 同上 |
4つ目と5つ目は、善意でやってしまうことが多いところです。「不満はまず直接聞きたい」という考え自体は正しいのですが、それを口コミの入口で振り分けると方針に触れます。
「振り分け」がなぜだめなのか
いちばん誤解が多いところなので、分けて書きます。
こういう仕組みを見たことがあるかもしれません。まずアンケートで星を聞き、★4以上ならGoogleの投稿画面へ、★3以下なら店舗への連絡フォームへ送る、という分岐です。ツールとして売られていることもあります。
これは、良い評価だけを選んで集めていることになります。 悪い評価を書こうとした人が、Googleへ行けない形になっているためです。店舗側に「隠そう」という意識がなくても、動きとしては選別しています。

正しい形は、星の数にかかわらず同じ行き先を出すことです。★1でも★5でも同じ選択肢が同じ見せ方で出るなら、選別していません。
気をつけること
「振り分け型」のツールを導入していないか、一度確認してください。 星で行き先が変わる作りになっているものは、方針に触れます。導入したのが店舗側でも、責任を負うのは店舗です。
業者に任せている場合
代行業者や制作会社に任せている場合、何をやっているかを店舗側が把握していないことがあります。 次の3つは、必ず聞いてください。
- 星の数で行き先を変えていないか
- 口コミを書く人に、何らかの見返りを渡していないか
- 業者側で口コミを書いていないか
3つ目は、「レビュー代行」「口コミ投稿代行」といった名前で売られていることがあります。これは代筆なので、完全に禁止されています。 依頼した店舗のプロフィールが止まります。
代行に入るとき、前の業者が何をやっていたかを最初に確認します。星で振り分ける仕組みが入ったままだと、集めるほど危険が増えていくので、そこは先に外します。
違反にならない口コミ依頼の言い方
言っていいのは「ご感想を教えてください」までです。
「よろしければ、ご感想をお聞かせいただけますか」
「Googleに感想を書いていただけると、次の方の参考になります」
「一言だけで構いませんので、今日のことを書いていただけますか」
評価の方向を指定しない。見返りを付けない。 この2つを守れば、声かけは自由にできます。
言い換えの一覧
迷いやすい言い方を、そのまま置き換えられる形にしました。
| だめな言い方 | 言い換え |
|---|---|
| 星5でお願いします | ご感想をお聞かせください |
| 良かった点を書いてください | 今日のことを書いていただけますか |
| 高評価をお願いします | 次の方の参考になりますので |
| 書いてくれたらドリンク1杯 | (見返りは付けない。文言を消す) |
| 満足された方はこちらへ | (全員に同じものを渡す) |
右の列は、どれも量のハードルだけを下げていて、内容の方向は指定していません。 ここが線引きです。
そして実際のところ、声をかけるかどうかのほうが、言い方より効きます。 何も言わなければ、ほとんどの方は書きません。具体的な集め方はGoogle口コミを増やす方法にまとめました。
貼り紙・POPの文言
口頭の声かけと違って、紙は残ります。 写真に撮られて、そのまま証拠になります。
- ○「ご意見・ご感想をお聞かせください」
- ○「Googleに感想を投稿できます」
- ×「★5でお願いします」
- ×「高評価にご協力ください」
- ×「投稿された方にはサービス券を進呈」
紙に書くときは、口で言うときより一段慎重にしてください。
悪い口コミが来たらどうするか
「良い口コミだけ集めたい」という気持ちの裏には、低い評価が怖いという不安があります。
ここは考え方を変えたほうが得です。低い評価は、返信で挽回できます。
そもそも口コミが検索での見え方にどう効くのかは、Googleマップで上位表示する方法で説明しています。
口コミを読んでいる人は、評価そのものよりも「お店がどう返したか」を見ています。 落ち着いた返信が1つあるだけで、読んだ人の印象は変わります。逆に、★5ばかりで返信が1つもない店は、かえって不自然に見えます。
低い評価への返信で気をつける点は3つです。書き方は低評価の口コミへの返信にまとめています。ここでは要点だけ挙げます。
- 言い返さない。 書いた本人よりも、これから来る人に読まれています
- 事実を確認していないことは書かない。 「確認のうえご連絡します」で十分です
- 個別の対応は、店舗へ直接連絡してもらう形にする。 返金や割引の話を公開の場でしない
事実と違う口コミが来たとき
来店していない人が書いている、内容が明らかに事実と違う、といった場合は、Googleに削除を申請できます。 管理画面から報告する形です。
ただし、申請すれば必ず消えるわけではありません。 「対応が悪かった」のような、感想として書かれているものは、事実と違うと主張しても通りません。消せるのは、方針に反しているものだけです。
申請が通らなかった場合に残る手は、返信だけです。だからこそ、返信の型を持っておく意味があります。
線引きを、店舗で共有する
方針を知っているのが経営者だけだと、現場で崩れます。声をかけるのは現場のスタッフだからです。
共有しておくことは3つだけで足ります。
- 言っていい文言は1つ。 紙に書いて貼る
- 物やサービスを渡さない
- 全員に同じものを渡す(満足度で相手を選ばない)
これ以上増やすと覚えられません。逆にこの3つを外さなければ、方針に触れることはまずありません。
現場でよく出る質問への答え
スタッフから実際に出る問いと、その場で返せる答えです。
| 現場の問い | 答え |
|---|---|
| 「良い感想だけ書いてほしいと言ってはだめ?」 | だめ。方向を指定した時点で違反 |
| 「クーポンを付けたら書いてくれるのでは?」 | 見返りなので違反。件数より安全を取る |
| 「怒っているお客様にも声をかけるの?」 | かけなくてよい。ただし満足度で選ぶ運用にはしない |
| 「常連さんに毎回頼んでいい?」 | 同じ人は何度も投稿できない。新規の方に |
3つ目が難しいところです。「明らかに怒っている人にわざわざ声をかけない」のは自然な判断で、それ自体は問題になりません。問題なのは、満足度でお客様を仕分ける仕組みを作ることです。人が個別に判断するのと、仕組みで振り分けるのは別物として扱ってください。
集めた口コミを、どう管理するか
集め始めると、次は「届いたものをどうするか」が問題になります。放置すると、返信がないまま溜まります。

見るのは2つです。
- 新しく届いたものに、返信が付いているか
- 星の分布が、極端に偏っていないか
2つ目は方針の話と直結します。★5だけがきれいに並んでいる状態は、集め方を疑われる形でもあります。低い評価が混ざっているのは、むしろ自然な状態です。
よくある質問
Q. お客様が自主的に「星5にしました」と言ってくれた場合は
問題ありません。禁じられているのは、店舗側が方向を指定して依頼することです。結果として高い評価が付くことは、当然あります。
Q. 口コミを書いてくれた方にお礼を言うのは
口頭でお礼を言うのは問題ありません。物やサービスを渡すと見返りになります。 「ありがとうございます」で止めてください。
Q. 従業員が自分の店に口コミを書くのは
本人以外が書くことに当たります。書かないでください。 家族や友人に頼むのも同じです。
Q. 過去に見返りを付けて集めてしまいました
いまから止めるのが第一です。過去分を自分で消す必要はありませんが、同じやり方を続けている限り、まとめて消えるおそれが残ります。仕組みとして残っているもの(貼り紙、クーポン、振り分けツール)を先に外してください。
Q. 同業他店が明らかに見返りを付けています。放っておいていいのですか
Googleに報告する手段はありますが、それで自分の店の集客が増えるわけではありません。 時間を使う先としては、自分の店の口コミを1件増やすほうが確実です。相手が方針に触れ続けていれば、いずれまとめて消えます。
Q. アンケートを取ること自体は問題ありませんか
問題ありません。問題になるのは、アンケートの結果で行き先を変えることです。答えてもらった内容を、そのまま口コミの下書きとして本人に渡すのは、代筆ではありません。投稿するのが本人であることが条件です。
Q. 「口コミを書いてください」と書いたチラシを配るのは
チラシ自体は問題ありません。書いてある文言だけが問題です。評価の方向を指定せず、見返りも書かなければ、配って構いません。
Q. 撮影した写真を投稿してもらうのは
写真も口コミの一部なので、同じ扱いです。「良い写真を」と方向を指定しないこと、見返りを付けないこと。 この2つを守れば問題ありません。
まとめ
- 「星5で」「良い評価を」は禁止。 評価の方向を指定した時点で方針に触れます
- 見返りを条件にしない。 金銭でなくても同じです
- 良い評価だけを選んで集めない。 満足した方だけに渡す形、星で行き先を変える形も含みます
- 業者に任せている場合も、責任を負うのは店舗。 3点を確認してください
- 言っていいのは「ご感想を教えてください」まで。 ここまでなら自由に声をかけられます
- 紙に書くときは、口で言うときより慎重に。 紙は残ります
- 低い評価は返信で挽回できる。 読む人は返信を見ています
この記事の内容は、口コミを1件も集めていない段階でも先に決めておけます。むしろ、集め始めてから線引きを変えるほうが手間がかかります。 貼り紙を刷り直し、スタッフに言い直し、場合によっては集めた口コミが消えるからです。最初に決めてしまってください。
レビューデスクが、星の数で案内先を変えない作りにしているのは、この方針に触れないためです。★1でも★5でも、同じ選択肢が同じ見せ方で出ます。

