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口コミ返信が逆ギレに見える正論を書いたのに、なぜ責められるのか

口コミへの返信 レビューデスク 渡辺 真也

低い評価に返信した店舗から、こういう相談が届きます。

事実と違うことが書かれていたので、違う点をきちんと説明して返信しました。そのあと、返信のほうが批判されるようになってしまいました。

書いた側は訂正のつもりです。それでも読む人には「逆ギレ」に見えることがあります。 言葉づかいは丁寧なのに、です。

この差がどこで生まれるのかを、実際の文面で線引きします。

口コミ返信が逆ギレに見えるのは、何を書いたときか

結論から書きます。逆ギレに見えるかどうかは、荒い言葉を使ったかどうかでは決まりません。 決めているのは1点だけです。

返信の中に、投稿者そのものを評価する言葉が入っているかどうか。

ここが分かれ目です。同じ「事実と違う」を伝えるのでも、次の2つはまったく違うものとして読まれます。

書いた文 何の話をしているか 読む人の受け取り
当店では、施術前に料金表をお見せしております 店側の事実 説明
よくお調べにならずに書かれるのは困ります 投稿者の態度 逆ギレ

上は店の話、下は人の話です。店の話をしているあいだは、どれだけ細かく書いても逆ギレにはなりません。 人の話に移った瞬間に、読む人は「揉めている」と判断します。

丁寧語でも逆ギレになる

やっかいなのは、下の文が敬語で書けてしまうことです。

一方的なご意見をいただき、大変残念に思っております。

罵っていません。丁寧です。それでも、「一方的」は投稿者への評価なので、読む人には言い返しに見えます。丁寧に書けば大丈夫、という感覚が通じないのはここです。

読んでいるのは、書いた本人ではない

もう1つ前提があります。返信を読んでいるのは、投稿した本人よりも、これから来る人のほうが圧倒的に多いということです。

届いた口コミの一覧。星の分布と、1件ずつの内容が並んでいる

これから来る人は、何があったかを知りません。どちらが正しいかも判断できません。判断できるのは、「この店は、指摘されたときにこう振る舞う」という一点だけです。

だから、こちらがどれだけ正しくても、返信の中で相手を評価した時点で損をします。読む人が見ているのは正しさではなく、振る舞いだからです。この考え方は低評価の口コミへの返信にも書いたとおりで、逆ギレを避けるうえでも土台になります。

つい書いてしまう3つの瞬間

逆ギレ返信は、性格の荒い人が書くわけではありません。書いてしまう瞬間が、だいたい決まっています。

逆ギレ返信が出てしまう3つの瞬間

1. 事実が違うとき

いちばん多い入口です。書き始めの動機は「訂正」なので、本人には正当な理由があります。

問題は途中です。事実を1つ書くと、それだけでは足りない気がしてきます。「なぜそう書かれたのか分からない」「確認していただければ分かるはずです」と続いたところで、話が人に移ります。

訂正は1文で終わります。それ以上書きたくなったら、そこから先は訂正ではありません。

2. 言い分を聞かれなかったと感じたとき

「その場で言ってくれれば対応できたのに」という気持ちは、返信の文面に出ます。

その場でお申し付けいただければ、すぐに対応いたしましたのに。

丁寧ですが、「言わなかったあなたにも落ち度がある」と読めます。 悔しさが理由の文は、たいていこの形になります。

3. 同じ指摘が続いたとき

見落とされやすいのがこれです。1件目には落ち着いて返せた人が、3件目で崩れます。

待ち時間の指摘が3件続いたとき、3件目への返信には、前の2件分の疲れが乗ります。文面としては1件目とほぼ同じなのに、最後の一行だけ余計なことが書いてある、という形になりがちです。

だから逆ギレは、その日の機嫌ではなく、たまり具合で起きます。 対策も気持ちの持ちようではなく、後で書く仕組みのほうに置くことになります。

逆ギレに見える言い回しと、その言い換え

具体的に見ていきます。左の列は、実際によく書かれているものです。

書いてしまいがちな文 なぜ逆ギレに見えるか 言い換え
そのような事実はございません 確認前に断定している。後で覆せない 記録を確認させていただきます
ご来店いただいた記録が見当たりません 投稿者を嘘つきだと言っている お手数ですが、一度ご連絡いただけますでしょうか
一方的なご意見で残念です 投稿者の態度を評価している ご期待に沿えず、申し訳ございませんでした
他のお客様からはご好評をいただいております 投稿者を少数派として扱っている (書かない)
ご理解いただけず残念です 理解しない側が悪い、と読める 説明が行き届かず、申し訳ございませんでした
当店にも事情がございます 事情の説明は、ほぼ言い訳として読まれる (書かない)
営業妨害にあたる可能性があります 公開の場での法的主張は、脅しに見える (書かない。別の手段で対応する)
二度とお越しいただかなくて結構です 説明が要らない (書かない)

言い換え欄が「(書かない)」になっているものがあります。言い方を柔らかくしても成立しない文がある、ということです。 その4つは、書きたい中身そのものが返信に向いていません。

消すべきなのは、文ではなく語

書き上がった返信を直すとき、文ごと消そうとすると手が止まります。消すのは語です。

出す前に消す3種類の語

この3種類を消すと、残るのは店側の事実と、これからどうするかだけになります。残った文が短くなりすぎて心配になりますが、それでちょうどよいです。読む人が知りたいのは経緯ではなく、振る舞いだからです。

気をつけること

「事実無根」「法的措置」「営業妨害」の3語は、返信に書かないでください。 本当にその段階なら、対応するのは返信欄ではありません。公開の場に書くと、読む人には争っている店としてだけ伝わります。

反論してよいのは、どこまでか

「では、間違ったことを書かれても黙っているのか」という話になります。そうではありません。線は引けます。

書いてよいのは、店の側の事実だけです。相手の書いたことが間違っている、とは書きません。

この2つは似ていますが、読まれ方がまったく違います。

  • 書ける … 「当店では、追加の施術を行う前に必ずご説明とご同意をいただいております」
  • 書けない … 「ご記載のような対応は行っておりません」

上は手順の説明です。下は投稿者への否定です。店の手順を1つ置くだけで、読む人は自分で判断してくれます。

場面ごとの書き方

料金や手順が事実と違う場合

ご不安なお気持ちをおかけしてしまい、申し訳ございません。当店では、追加の施術を行う前にご説明とご同意をいただく手順としております。行き違いがあったようですので、記録を確認いたします。お手数ですが、当店まで直接ご連絡いただけますと幸いです。

否定していません。手順を1つ置いて、確認すると伝えているだけです。それでも、読む人には「説明する手順がある店」だと伝わります。

明らかに別の店と間違えている場合

ご投稿ありがとうございます。ただ、ご記載の内容につきまして、当店の状況と異なる点がございました。もし別のお店との行き違いでしたら、お手数ですが一度ご連絡いただけますでしょうか。

「間違っています」とは書いていません。食い違いがあることだけを示しています。 責めずに置くほうが、読む人には怪しい口コミとして伝わります。

来ていない人が書いたと思われる場合

ここは返信で戦わないでください。「ご来店の記録がありません」と書いても、証明にはなりません。読む人から見れば、店が疑っているというだけの文になります。対応は返信ではなく、削除の申請と、他の口コミを増やすほうに置きます。

迷ったときの1つの基準

書き上がった返信から、主語が「お客様」になっている文をすべて消してください。 残った文だけで意味が通れば、その返信は逆ギレには見えません。消したら何も残らない場合、それは返信ではなく反論です。

出してしまった口コミ返信は、直せるのか

直せます。 管理画面から書き直しも削除もできます。書き直したことは表示されません。

ただし、読まれた分は戻りません。 画面の写真を撮られていれば、それも残ります。「消せばなかったことになる」とは考えないでください。

そのうえで、直す手順は次の3つです。

  1. 消すのではなく、書き直す。 削除だけすると、その1件だけ返信のない状態に戻ります。他に返信が並んでいると、そこだけ空いているのは目立ちます
  2. 評価の語と守りの語を全部消す。 上の3種類です。文を足すのではなく、削るだけにします
  3. 3〜5行に収める。 直すときに説明を足すと、二度目の言い訳になります

届いた口コミへの返信の下書きを、承認する前に確認している画面

直したのに、表示が変わらないとき

書き直したのに前の文のままに見える、消したはずの返信が残っている、という相談もあります。反映に時間がかかっている場合と、返信そのものが表示されなくなっている場合があります。 切り分け方は口コミの返信が消える5つの原因にまとめました。

渡辺

レビューデスクでは、AIが返信の下書きを作っても、投稿するかどうかは必ずご自身が決める形にしてあります。自動で投稿する作りにしなかったのは、確認していない事実を書いてしまう危険があるからです。感情の乗った文を止めるのにも、この一手間がそのまま効いています。

気合いではなく、仕組みで止める

「落ち着いてから書く」は、正しいのに守られません。低い評価が来た直後がいちばん腹が立ち、いちばん書きたくなるからです。

決めておくのは3つです。

1. その日は出さない

書くのは構いません。出すのを翌日にするだけです。下書きに置いて、一晩たってから読み返します。

これが効くのは、翌日の自分が他人に近いからです。書いた直後は「言い足りない」と感じ、翌日は「一言多い」と感じます。どちらが読む人の感覚に近いかというと、翌日のほうです。

2. 書いた人以外が、もう一度読む

一人で店をやっている場合を除いて、返信を書く人と、出す前に読む人を分けてください。 読む側は、内容を判断する必要はありません。見るのは1点だけです。

  • 投稿者について書いてある文が、1つでもあるか

あれば消す。なければ出す。それだけの確認なので、10秒で終わります。

3. 使わない言葉を、先に決めておく

その場で判断すると、腹が立っているときほど基準が緩みます。平常時に「この語は使わない」と決めて、紙にして貼っておくほうが確実です。

返信のトーンや、避ける言い回しを設定する画面

決めるのは3つで足ります。

  • 一人称(当店/当院/私ども)
  • 謝り方の強さ(申し訳ございません/恐れ入ります)
  • 使わない語(一方的/ご理解ください/やむを得ず/事実無根/営業妨害)

複数人で返信を書く店舗では、これを決めておくと文体も揃います。逆ギレを防ぐ仕組みと、定型文に見せない仕組みは、同じところにあります。

レビューデスク

「トーンを決める」というと大げさに聞こえますが、要するに使う語と使わない語のリストを1枚作るだけです。1回作れば、あとは見るだけになります。

月に一度、自分の返信を並べて読む

もう1つ、続けるうえで効くことがあります。月に一度、その月に書いた返信を上から続けて読んでください。

1件ずつ書いているときは気づきませんが、並べると分かります。文が長くなっている月は、たいてい何かに反応しています。長さは、感情の温度計として使えます。

業種ごとに、火がつきやすいところ

書いてはいけないことは共通です。ただし、つい書いてしまう中身は業種で違います。

飲食店

味と量への評価で火がつきます。出やすいのが原価と仕入れの説明です。「この価格でこの内容は企業努力の結果です」と書きたくなりますが、読む人には値段の言い訳としてしか届きません。味は好みの問題なので、そもそも反論して勝てる土俵ではありません。「お口に合わなかったようで申し訳ございません」で止めて、提供の手順の話に寄せてください。

美容室・サロン

仕上がりへの不満で火がつきます。出やすいのがカウンセリング記録の持ち出しです。「事前にご確認いただいた内容で施術しております」は、記録で押し切る店に見えます。ここは公開の場で決着させず、直接の連絡に寄せてください。あわせて、返信欄で「無料でお直しします」と約束しないでください。他の方にも同じ条件を出したことになります。

整体・接骨院

効果への評価で火がつきます。出やすいのが回数と経過の説明です。「1回で改善するとはお伝えしておりません」と書くと、言った言わないの争いに見えます。加えて、何回通ったか、どこを施術したかは返信に書けません。 個人が特定できる情報にあたります。

クリニック・歯科

待ち時間と説明への評価で火がつきます。出やすいのが診療の事情の説明です。「急患対応があり、やむを得ず」は、事実であっても言い訳として読まれます。さらにこの業種は制約が重く、来院した事実そのものにも触れられません。 「院内で共有いたします」まででいったん止める、という形がいちばん安全です。

よくある質問

Q. 明らかに嘘の口コミです。それでも反論してはいけませんか

反論そのものが禁止されているわけではありません。ただ、読む人には嘘かどうかが判断できません。 判断できるのは、店の振る舞いだけです。店側の事実を1つ置いて、あとは削除の申請に回すほうが、結果として損が小さくなります。

Q. 一度書いた返信を削除すると、相手に通知されますか

削除や書き直しを店舗が行ったことが、投稿者に個別に知らされる仕組みはありません。ただし相手が見に来れば分かります。気づかれない前提では動かないでください。

Q. 感情的な返信を書いたことは、Googleの評価に影響しますか

内容が方針に反していれば、その返信が表示されなくなることはあります。ただし、「感情的だから順位が下がる」といった話ではありません。 影響が出るのは、読んだ人が来店をやめるという形です。そちらのほうが実害としては大きいです。

Q. 従業員が勝手に逆ギレ返信を投稿してしまいました

まず書き直してください。そのうえで、管理画面に入れる人を見直してください。 返信を書ける人と、投稿できる人を分けるだけで、同じことは起きなくなります。

Q. 返信しないほうが安全ではありませんか

1件だけ返信がない状態は目立ちます。触れたくない事情があるように見えます。 書けないと感じるときは、日を空けてください。返信しないという判断より、遅れて出すほうが安全です。

Q. 星だけで文章のない★1にも、何か返したほうがいいですか

内容がないので、返しようがありません。この場合は返信しなくて構いません。 無理に返そうとすると、こちらの推測を書くことになり、そこから逆ギレの文面が生まれます。

Q. すでに炎上している場合はどうすればいいですか

返信欄で説明を重ねないでください。説明が増えるほど、争いが長く見えます。 返信は短いものに直して、そこから先は個別の連絡に移してください。

Q. 「ご意見ありがとうございます」だけでは冷たく見えませんか

冷たく見えるのは、他の返信と同じ文が並んでいるときです。1件でも、その口コミにしかない語を1つ拾えば、冷たくは読まれません。 短いこと自体は問題になりません。

まとめ

  • 逆ギレに見えるかどうかは、投稿者そのものを評価する語が入っているかで決まる
  • 丁寧語でも逆ギレになる。「一方的」「ご理解いただけず」は、態度への評価
  • 書いてしまう瞬間は3つ。事実が違うとき、言い分を聞かれなかったとき、同じ指摘が続いたとき
  • 消すのは文ではなく語。相手を評価する語・自分を守る語・勝ち負けの語の3種類
  • 反論してよいのは店の側の事実まで。 相手が間違っているとは書かない
  • 「事実無根」「法的措置」「営業妨害」は返信欄に書かない
  • 出してしまった返信は書き直せる。 削除ではなく書き直しにする
  • 止めるのは気合いではなく仕組み。翌日に出す・別の人が読む・使わない語を決めておく

レビューデスクでは、届いた口コミにAIが返信案を下書きします。投稿するかどうかは必ずご自身が決める形にしてあり、金銭や健康、法的な主張を含む口コミには「要確認」が出ます。腹が立っている日に、そのまま出てしまわないための仕組みです。

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